いい村は女が元気──そんな趣旨の台詞を、ある有名な映画で聞いたことがある。

はつらつと笑う十勝の女性たちと初めて話をした時、その台詞がフッとわいた。

北海道下川町で暮らすわたし(編集部・立花)は、下川町で暮らしているからこそ、道内の他の地域の風土も気にならずにはいられなかった。

「ちょっと話しただけなのに、十勝で暮らす女性たちは、なぜこんなにも快活だと感じるのかな?」。

その理由を探りに、実際に十勝へ行ってきた。

民間人によってきり拓かれた十勝

北海道と開拓の歴史は、切っても切り離せない。大規模な酪農・農業で有名な十勝(*1)と呼ばれる地域も、もちろんその一つ。

(*1)帯広市をはじめとする、北海道十勝総合振興局管内の19の市町村。参照元はこちら
十勝

地位を失った士族たちが北方警備の目的で、明治政府によって派遣されたのが屯田兵だ。彼らは、道内各地に散らばって農地開拓を行なった。けれど十勝の場合は少し、ちがう。

最初に鍬(くわ)をおろしたのは、国に派遣された屯田兵ではなく、依田勉三という男性だった。

依田勉三
写真:帯広百年記念館提供

依田勉三は、静岡県で豪農の家庭に生まれた。

途方もないほどの広い大地を地道に開拓し、火事や害獣の被害に遭いながら「ここでひと旗あげる」という強い意志で開拓を進めた。

畑

単身で十勝へ調査に入った依田勉三は、十勝の可能性に魅せられ、志を共にする人たちと晩成社という会社を立ち上げる。

同社では、農地開拓に加えてバターの開発も行なった。当時の日本では、バターなんて高級品。まだ珍しい食べ物だったけれど、依田勉三は「これから絶対にバターが売れる!」と確信していたらしい。

けれど東京に売りに行くにも、当時は鉄道で運送していた。バターは乳製品。長距離移動は、品質に影響したこともあったという。

着眼点は良かったけれど、販路開拓がうまくいかず、彼の死とともに志をともにした晩成社の仲間は解散した。

けれどこの挑戦が、十勝の有名なお菓子「マルセイバターサンド」が生まれるきっかけとなる。

マルセイバターサンド
北海道土産の定番中の定番となった「マルセイバターサンド」。工場のある十勝・中札内村「六花の森」では、できたてを食べられる

始めた当初はうまくいかなかったことも、十勝の人にとっては、依田勉三が開拓した歴史は誇らしいものだ。

彼をはじめとする民間人の力で、十勝の土台は築かれた。

他にも、開拓の背景には名もなき女性たちがいる。依田勉三をはじめとする開拓スピリットは、たとえ歴史にその名が出てこなくても、女性たちの協力なしにはあり得なかったはず。

そしてそのDNAは、2019年を生きる女性たちにも連綿と引き継がれている。

やると決めたらやり抜く。最初は一人でも。

今回お会いした女性たちは全部で9人。

「十勝の女性を一言で表すなら?」と全員に質問させていただいた。

「強く、しなやか」
「ただでは起きない」
「我慢強い」
「折れない」……。

さまざまな表現がある。

わたしが皆さまのお話を聞いて感じた共通点は、「たとえ誰にも賛成されなくても、やると決めたらやる」という肝の座った決意だった。

自分の好きなことを突き詰めていたら仕事になった

「やると決めたらやる」。

では、何を?

それは人それぞれだ。例えば、自分の好きなことを突き詰めていたら、気づいていたら仕事になっていたという方々もいる。

「この土地いっぱいに、お花畑があったら素敵だなって思ったの。初めは、何を言っているの、年齢を考えなさいって呆れられたけれどね」と話すのは「紫竹ガーデン」を営む、紫竹昭葉さん。

紫竹ガーデン

紫竹ガーデンを開園したのは、紫竹さんが62歳のときだ。取材時(2019年7月)では御歳92歳。

ヒールを履き、遠方から来るお客さんやファンが、カフェに入ってくるたびに席を立ち、一人ひとりに声をかける。

紫竹ガーデン

「私、建築のこともお庭を作るデザインのことも、まったく分からなかったけど、お花は昔からずーっと好き。だから、農地にするために土地が掘り起こされて、もともとあった野原がどんどん消えていくのを見て、寂しいなって思っていたんです。

だから百合やスズランがいっぱいに咲き乱れる野原を蘇らせたくて、市長に掛け合いました。そうしたら『紫竹さん、本気なら自分でやればいいじゃないですか』と言われて。ハッとしたんです。

そうよ、自分でやればいいんだわって」(紫竹さん)

紫竹ガーデン

「そこからは、もう大変。

この土地(現在の紫竹ガーデン)は農協の方に見つけていただきましたけれど、わたし、野原ってお花を植えればひとりでにできるものだと思っていました。でも、違うのよね、きちんと区画を整理して、手入れしなくちゃならない。

そんなことも分からないまま、ガーデンを作るって言っちゃったから、途中お金のこととか考えなければならないことで憂鬱になって。やめたいと思ったこともあったけど、言い出しっぺだからやらなくちゃって思いました」(紫竹さん)

紫竹ガーデンは、いまや年間10万人の来場者を集める、十勝の中でも指折りのスポット。にっこり穏やかな紫竹さんの笑顔に惹かれ、徐々に協力者やファンが集まり、今の姿がある。

紫竹ガーデン
ガーデンを訪れた紫竹さんのファンはトレードマークの花の帽子をかぶり、ひっきりなしに記念撮影をしていた

紫竹ガーデン

「やり始めた時は一人だったし、誰に賛成されなくてもやるつもりでした。でも理想を形にするのに私だけでは、どうにもならないことだらけ。

情けは人の為ならずということわざがありますでしょう? 人に情けをかけるのはその人のためにならないという意味だと思っている方もいらっしゃるけど本当は、人にかけた情けは巡り巡って自分のところに返ってくるという意味です。

私は誰かに情けをかけたつもりはないけれど、いろんな人に助けてもらって今があります。もったいないことです」。

紫竹ガーデン

帯広出身で、長くご自身のこだわりを貫いてきた紫竹さん。そんな生き様を追うように、十勝には“好き”の強さで自身の生きる道を切り開く人たちがいる。

最近、十勝地域の一つである池田町で協力隊を退任した後もそのまま十勝に残ったという女性にもお目にかかった。

「最初は協力隊の仕事としてワインのことを調べていたんですが、思っていたよりお酒が飲めないわけではなかったので(笑)、飲みながらブドウの品種による味わいの違いやテイスティングの仕方を教えてもらい、少しずつ覚えていきました」と話す、高橋悠さん。

協力隊を退任し、自身の母校でもある帯広畜産大学で、地域の産業と大学の研究をつなぐ仕事をしている。

「十勝ワインって『トカップ』が有名ですが他にも美味しい品種がたくさんあるんです。もともと山ぶどうが自生していたことがきっかけで、池田町のワイン造りが始まったのですが山ぶどうを交配した『山幸』は、酸味が強くてとっつきにくいイメージです。でもそれが悔しくて! どうやったらもっと美味しいワインができるかなって毎回飲みながら考えています」

高橋悠さん
協力隊時の高橋悠さん(写真:ご本人提供)

高橋さんは、ワインのことを話しだすと止まらない。

ワインに詳しい人はたくさんいるから、と謙遜されていたが、彼女が夢中で話している姿を見るだけで「ワイン、飲んでみたい」と思えるから、やっぱり“好き”という気持ちの強さはすごい。

ワインやお花といった、個別のものが好きな人もいるけれど、十勝は「十勝が好き!」という人も多いらしい。

Uターンで帯広に戻ってきた山川知恵さんも、その一人。

「東京で働いていて地元の友達と会うときも『いつ帯広に戻る?』という話題が自然に出てましたね」と話す。

山川知恵さん

山川知恵さん

空間Worksという屋号で、リノベーションや空間デザインを仕事にしている山川さん。もともとケアマネージャーとして福祉領域で仕事をしていたという。

ダイナミックな転職の背景には「ただ副業して稼ぎたかった」という素直な思いと、「やるからには面白いことをやりたい」という好奇心がある。

「ここは、もともとトンカツ屋さんだった建物で、大家さんからどうにか活用できないか相談を受けました。活動していると自然に流れってできるじゃないですか。狙っていたわけではないけれど、そんなふうにだんだん仕事として頼まれるようになりました」

最低限の改修だけしたという、元トンカツ屋さん
改修後はシェアスペースとしてテナントを募集中。すでに入居した会社がオフィスとして使い始めている部屋も。

山川さんが手がける事業は、何も建物の改修やデザインだけではない。

十勝ファーマーズマーケットという隔週の土曜に開催しているマルシェの企画・運営や、起業支援、インテリアコーディネーターなど多岐にわたる。

「私自身は全部まちづくりだと思ってやっています。個人事業主になるつもりも、最初は全然なくて。ただ、十勝が民間人によって開拓された地域という歴史があるからかもしれないけど、十勝の人は、自分で何もしないと退屈になっちゃうんじゃないかなっていう持論はあります(笑)」(山川さん)

山川さんがインテリアコーディネートをした「熱中ゲストハウス」に併設するカフェ。ベビーベットが置かれているところからもきめ細かい気配りを感じる

「この辺りって、金融機関だとローカルビジネスに強い帯広信用金庫が、一番力があるんです。地域で信金の売上がダントツなことって、珍しいと思います。地域密着の金融機関って、スモールビジネスに携わることが多いから。

それくらいローカルのお店が強いんです。例えばカレーだったら『インデアン』っていう地元チェーンがあって、全国展開しているカレー屋さんが即刻撤退したり、『焼肉平和園』が人気すぎて大手の焼肉屋さんも撤退したり。個人でやっているお店や事業がすごく強い印象です」(山川さん)

ご自身の事業のことだけでなく、十勝エリアのローカルビジネスの話も、目を輝かせて話す山川さん。

「友達も帰るから自分もそのうちUターンしようかなーって考えている程度だった」とおっしゃるが、そんな気配は微塵も感じさせないほどエネルギッシュで、けれど軽やかに話す女性だ。

「魅力を伝える」ことにこだわり抜く

もう一人、カラリとした笑顔が似合う女性に出会った。

「やりたいという思いより、タイミングと良い縁が重なったんです」。

十勝の一地区である鹿追町の、市街地から少し離れたところにある「トマルカフェ鹿追」を立ち上げた正保縁さんだ。

正保縁さん

紫竹さんたちとはまた違う、魅力ある人やモノ、コトを届けることにも情熱を注ぐ女性の一人だ。

「さつまいもの農家として協力隊の任期を終え、そのまま就農しました。なんとなく畑はやりたいなと思っていたけれど、宿をやろうとは初めから思っていたわけではなくて。

カフェを任せている出口さんと出会って、彼女の料理がとんでもなく美味しくて衝撃を受けたのがきっかけです。この料理をいろんな人に食べてもらいたい!と思いたったタイミングで、出口さんがフリーになると聞いて、カフェをやろうと。宿も、もともと私の住む家を探すなかで見つけた空き家を、リノベーションして始めました」(正保さん)

出口さと美さん
カフェを運営する出口さと美さん

出していただいたガレットは、そば粉から生産者さんの顔が見える食材で作られている。店内には、町外からわざわざ来たであろう家族やカップル、そして地元の方も訪れる。

トマルカフェの宿

カフェの2階には、3人1組限定で泊まれる宿がある。白壁で広く清潔感のある内装だ。屋根裏っぽい間取りは、どこか秘密基地のようでもある。

「今までは2年や3年スパンで物事を考えていました。でも子どもができて、10年先を考えて動くようになったのは大きな変化です。私だけなら自分一人でやって自分が責任を持って私が困るだけでいいけど今は違うから。これから何をしようかまさに考え中です」(正保さん)

トマルカフェ

正保さんが十勝の食の豊かさをお店で伝える人ならば、現場でその魅力を伝えているのは、今回の十勝取材の段取りをしてくださったいただきますカンパニーの代表の井田さんと松本さん。今回は松本さんにお会いできた。

松本友里恵さん

松本さんは埼玉出身で旦那さんの仕事の都合で十勝に移住。ハローワークでいただきますカンパニーの求人を見つけ、スタッフに申し込んだ。

「十勝に来る前は、食べ物って全部工業製品だと思っていたんです。お豆腐も小麦粉も、工場から出荷されるものだって。でもここ(いただきますカンパニー)で働き始めて当たり前だけど食べるものって畑で育つんだなって実感しました」(松本さん)

いただきますカンパニー
十勝で一番早くトウキビ(北海道ではトウモロコシをトウキビと呼ぶ)が採れる、坂東農場さんをご案内していただいた。坂東農場さんは、いただきますカンパニーが実施している「農場ピクニック」に協力している農家さんの一つ
いただきますカンパニー
「最近は海外からのお客様も多いんです」と松本さん。イラスト付きで解説がわかりやすい

飲食店のバイトをしていたころ、ゴミ置場に袋いっぱいにパンが捨てられているのを見た松本さん。その頃から、食に対しての興味が増していった。

「パンを捨てろって指示した人も、実際に捨てた人も、あんまり何も考えてなかったんじゃないかなって思うんです。農場ピクニックは観光農園でもない、出荷することを目的とした農家さんの畑を見ることがてきるから、食べるものがどこからどうやって来ているのか五感で体験できる。大事なことだなと思います」(松本さん)

坂東農場
農場ピクニックの最後には収穫した野菜を食べることもできる(時期によって変動あり)。この日は農家の坂東さんがご自身が大好きで確保しているというジャガイモの一部をフライドポテトにしていただいた。ほくほくでほんのり甘くて、あっという間になくなった

四国出身の正保さんと、埼玉出身の松本さんはIターンの移住者。

一方、Uターンで地元・大樹町に戻ってきた神宮司亜沙美さんも、魅力を伝える仕事をおこなっている。

神宮司亜沙美さん

神宮司さんを取材した7月は、娘さんが産まれて1ヶ月経ったばかり。けれど出産後もなんのその、地元の企業のPRやブランディングのお手伝いをしている。

「大樹町はもともと協力隊を募集していなかったんだけど、他の地域の事例を集めて『地元に帰りたいから枠を作ってほしい』って役場に直談判しました(笑)」(神宮司さん)

協力隊の最終年で会社を立ち上げ、通販サイトをオープン。Uターンしてくる前に働いていた会社の代表の言葉が、起業の後押しをした。

「人生で一度は融資を受けた経験をしたほうがいいって言われて。銀行から借りたお金は、私としてはあんまり上手に使えなかった反省もあります。でも、自分で石鹸を開発して売ったり商いをすることで、ある程度大きなリスクをとる方が、大変かもしれないけど早く目標を達成するのかもしれないなって気づきました」(神宮司さん)

HOUSE MOEWA
神宮司さんの取材をしたのは、旦那さんと運営している宿「HOUSE MOEWA」。大樹町の畑が一望できる

Uターンする前は十勝のカタログギフトを作っていた神宮司さん。そのころから地元の方々との交流はあったけれど、起業してからは、なんとなく相手の姿勢が変わったように感じたという。

「誰から言われたわけではないけど、起業してからの方が認めてもらえたのかなって感じます。カタログギフトの営業をしていた時も『自分で売らないの?』と聞かれたこともあって。個人事業主が多い地域だったし、私が素敵だなと思う人たちはみんなそういう人たちだったから、いま思うと自分でやっているかどうかで、本気かどうか感じてもらえていたのかなと思います」(神宮司さん)

視座を共有できる人がいる

彼女たちは、自分で動いているからこそ、仲間を呼び寄せる。

そうして出来上がったコミュニティの先駆けが「十勝キャリアデザインネットワーク」(以下、CDN)だ。

十勝キャリアデザインネットワーク
左から山﨑増美さん、箕浦奈穗子さん、佐々木直美さん

今年で10年を迎えるCDNの目標の一つに、こんな言葉がある。

十勝管内において「本ネットワークが不要になること」を最終目標とします。 具体的には、企業内でキャリアアップを求めることが特別ではなくなり、 起業を考えることが特別ではなくなることを目指し、次の具体的目標を掲げます。

1.管内の企業の女性管理職(課長以上)の割合が10%を超える
2.本ネットワークを介し、起業する女性が100人を超える(十勝キャリアデザインネットワーク公式サイトより)

「実は知らないうちに、1の目標は達成していたんです」と、現在のCDN代表の箕浦さんは笑う。

「CDNには現在30名ほど会員がいます。こちらから招待をすることはなくて、すでに会員の人が紹介した方のみ入れる形で運営していて。会社を経営している方やフリーでものづくりをしている方など、業種は様々です」(箕浦さん)

「限られた地域で事業を継続するのは簡単なことではありません。でもCDNのメンバーは、有言実行したり、ステップアップしている人たちが多い。だから手前味噌ですが、メンバー同士をすごくリスペクトしているんじゃないかなって」(佐々木さん)

団体名に“ネットワーク”という言葉があるように、一人で始めても続けるには誰かとのつながりで救われることもある。たとえそれが同じ会社の社員や共に起業した創業者同士でなくても、分かち合える孤独と悩みがある。

忙しいメンバーが多いため、全員集まれることはなかなかないけれど、CDNのつながりが、矢面に立つ女性たちに安心感を与えてくれるようだ。

「みんなで集まると、ただ愚痴をこぼして終わり、ではなくて建設的な話し合いができるんです。子育てと仕事の両立に悩んでいたら『この家電便利だよ』とか、事業内容についても『こんなことやってみたら?』とか。周りは無理だと言うことも、CDNのメンバーなら面白がって、実現できるにはどうすればいいかを一緒に考えてくれるから、すごくありがたいです」(山﨑さん)

カフェレストラン繪麗
取材させていただいた場所は佐々木さんが1976年に始めたレストラン「繪麗(えれ)」。地元の方にも愛されるお店で、CDNの集会も時々ここで行われるという

地域の中にロールモデルがいる環境は、何ものにも代えがたいほど心強い。

さらに最近はもう一つ、CDNとは違う動きで、ゆるやかに繋がるコミュニティができた。

十勝◯◯婦人部
十勝◯◯婦人部が企画したツアーの様子(写真:伊佐知美

「十勝◯◯婦人部」は、格安航空会社Peachが関西国際空港と釧路空港間に就航することがきっかけで、12人のメンバーで構成されている。

呼びかけ人はいただきますカンパニー代表の井田さん。

先ほど登場した、トマルカフェ鹿追の正保さん、いただきますカンパニーの松本さん、ワイン好きの高橋さん、空間Worksの山川さん、そしてHOUSE MOEWAを運営する神宮司さんもメンバーだ。

「婦人部では、十勝の魅力を伝えるためのSNS運用方法や、写真の撮り方講座などを企画・実施しました。単に『美味しいご飯と美しい自然』でPRしても代わり映えしなくておもしろくないねって。そこで組み立てたツアーの行程は、大切な人を連れて行く十勝ツアーでした。『#十勝タグ旅』というハッシュタグをつけて、情報発信もおこなっています」(松本さん)

十勝タグ旅
ツアーの様子(写真:伊佐知美
北海道・十勝フォトウォークツアー
(写真:伊佐知美

「起業をして、辛くて辞めたいこともありました。始めてしまった手前やめられない気持ちとか、借金をしている不安とか……婦人部でそういう弱みを打ち明けられるようになってから、ちょっと肩の力が抜けました。

『私が私が』って我を通す感じではなくて、自分ができない得意なことを持っている人たちと、同じ強度というか、経営者として同じ目線で話ができるなって」(神宮司さん)

十勝

「十勝晴れって表現、ご存知ですか?」。

取材中、CDNの山﨑さんに尋ねられた。調べたら、気温がグッと下がり、晴天が続くことを通称「十勝晴れ」と言うのだそうだ。

残念ながら、取材時は連日雨模様。なかなか晴れず、結局太陽を拝めなかった。

けれど、十勝で暮らす女性たちと話をしていると、なんだか元気が出るから不思議だ。

CDNも「十勝◯◯婦人部」も、個人で推進力を持つ人たちが集まっている。横のつながりが強くなればなるほど、そのエネルギーは十勝晴れのように周囲を照らす、大きな力になりそうだ。

「十勝晴れ」に育まれた開拓スピリット

わたしが暮らす北海道下川町は、一度財政再建団体になったことのある地域。

「自分たちでなんとかしないと町がなくなってしまう」という危機感が、前へ突き進むエネルギーになっていると感じる。

それゆえか、取材時にトマルカフェ鹿追の正保さんがおっしゃっていたことが今でも印象的だった。

「十勝は、財政的にも豊かなんです」。

確かに、十勝の、例えば下川町と比較的人口規模が近い池田町は、町内の一人当たりの所得が全国平均に対して高い(*2)。

豊かな土地は、どうしても現状維持しがちだという仮説がある。けれど、十勝は、留まらない。

依田勉三の世代から育まれた開拓スピリットは、100年以上経った今でも「チャレンジせずにはいられない」人たちの心を、強く惹きつけている。

(*2)雇用者と個人事業主を合わせた夜間人口一人当たりの所得。全国平均は376万円で、池田町は417万円。2013年度版の地域経済循環分析データより

記事で登場した十勝スポットのご紹介

紫竹さんを取材した「紫竹ガーデン」

  • 住所:〒080-2106 北海道帯広市美栄町西4線107
  • 営業期間:4月20日~11月末
  • 営業時間:8:00〜18:00
  • 定休日:期間中無休
  • TEL:0155-60-2377
    ※閉園期間後(12月1日以降)もレストランは営業
  • ウェブサイトはこちら

正保さんを取材した「トマルカフェ鹿追」

  • 住所:〒081-0225 北海道河東郡鹿追町柏ケ丘2-14
  • 電話番号:080-3805-6830
  • 対応時間:定休日(月曜)を除く営業時間内(11:00~17:00)
  • ウェブサイトはこちら

取材した松本さんがガイドをする「農場ピクニック」

  • 「畑ガイドと行く農場ピクニック」
  • 内容:8月中旬まで/じゃがいもほりピクニック
    8月下旬から9月末まで/もぎたてとうきびピクニック
    10月から10月末まで/ながいもほりピクニック
  • 会場:十勝管内の農場(帯広市、芽室町、音更町)※時期に応じて会場が異なります。
  • ツアーの時間と料金:
  • 食事付きツアー|8:00~10:30(朝食)11:00~13:30(ランチ)、大人5,500円、子供4,000円

    おやつ付きツアー|8:00~9:30、14:30~16:00、大人3,500円、子供2,000円

    ※大人18歳以上、子供3歳から高校生まで、2歳以下無料。最小催行2名、定員40名

  • 予約:ウェブサイトまたはお電話で前日17:00までにお申し込みください
  • お申込みはこちら
  • 問い合わせ:TEL:0155-29-4821
  • ※農場ピクニックは時期によって内容が変わります。掲載内容は記事公開時点で最新の情報です。詳細はウェブサイトをご確認ください。

「十勝◯◯婦人部」のプログラム

取材した山川さんが手がけるプロジェクト

  • モッタイナイ不動産:Facebookページはこちら
  • 熱中ゲストハウス:公式サイトはこちら
  • Share Apartment Torinos:公式サイトはこちら

神宮寺さんを取材した「HOUSE MOEWA」

  • 住所:〒089-2112 北海道広尾郡大樹町萠和485−8
  • 問い合わせ:house.moewa@gmail.com
  • 予約はこちら

CDNの皆さんを取材した「繪麗」

  • 住所:〒080-0028 北海道帯広市西18条南5丁目1−95
  • 電話番号:0155-41-3181
  • 営業時間:11:00〜21:30
  • 定休日:日曜日

写真/名塚ちひろ(公式ウェブサイト
文・構成/立花実咲
(この記事は、帯広観光コンベンション協会、十勝○○婦人部さんと協働で製作する記事広告コンテンツです)